【掲示板】9月の掲示板の言葉

9月の掲示板の言葉です。
まだまだ暑いですね。8/31現在で、36度を超えています。もう9月と言うのに、まだまだ熱中症に警戒が必要です。
お寺にも、無理に足を運ばなくても、大丈夫ですよ。とは、言いません。ぜひ来てください。
お寺と言う場所は、ある意味、「時間の速度を遅らせる場所」だと私は感じています。それは、現代にとても必要な空間です。そんな時間と空間を、持てる人生と、そうでない人生とでは、大きく違ってくるはずです。
今月の言葉は、ガンジーさんの「速度を上げるばかりが、人生ではない」です。
現代社会は、とにかく「速さ」を求めます。仕事の効率、情報の入手、移動手段。すべてがどんどん速くなっています。
まるで、立ち止まることが許されない競争の中にいるかのようです。
「もっと早く」
「もっと効率よく」
「もっと多く」

そう言って、私たちは常にアクセルを踏み続けます。それを幸せだと思い込んでいます。
しかし、そのようにして急ぎ続けた先に、本当に心の平穏はあるのでしょうか。
親鸞聖人は、『歎異抄』の中で、私たちのことを「煩悩具足の凡夫」だと仰いました。私たちは、常に何かを求め、何かを追いかける、煩悩を抱えています。
「速さ」を求める心も、煩悩の一つなのでしょう。
他人より遅れてはいけない、周りから置いていかれてはいけないという焦り。それは、本当の自分を見失い、自分ではない誰かになろうとする心です。
親鸞聖人は、まさにこの、走り続けている私たちに向けて、ご法義を説かれました。
お寺は、生き急ぐためのツールの場所ではありません。効率化させる道具ではありません。
私とは何か。どこに向かって生きていくべき命なのか。
それを一歩立ち止まって、考えることが出来る場です。
お寺とは、競争から一回降り、心を落ち着ける可能性が残された場です。
人生とは本来、競争のマラソンではありません。誰かと競う必要も、トップを走る必要も無いはずです。これは、競争自体を否定しているのではありません。
煩悩に振り回されて、それを求めているうちは、本当の意味で自らの命に向き合っていないのかもしれないということを、大事にしたいのです。
時々立ち止まって、空を見上げ、風を感じ、隣にいる人の顔をゆっくりと眺めてみましょう。そこには、これまで見過ごしていた、たくさんの温かさや、尊い命の輝きがあるはずです。
仏様のよび声に耳を傾け、立ち止まる勇気を持つこと。それこそが、本当に豊かな人生を歩む一歩となるのではないでしょうか。
一歩立ち止まって、掲示板を読んでくださり、ありがとうございます。
合掌