【読書シリーズ📚】『妙好人』鈴木大拙㊵~有福の善太郎2~

前回は、島根の妙好人、善太郎さんを紹介しました。

「家はどこか」と問われたことに対し、「家は無い。如来の家に置かせてもらっている」と答えた、善太郎さん。またこの方のエピソードを紹介します。

或る同行が善太の家を訪ねて行った。

家には娘が一人いたので「善太殿はどこへ行かれたか、そし て何時頃帰らるるか」と尋ねたら、

「浜田へ行きましたが、明晩でなければ帰りません」といえば、

くだんの同行いうに、「実は御縁に遇いに来たが、それでは明晩来る」と。

娘暫らく同行の顔を見 つめていたが、「あなたの後生は明晩まで待たるるのですか」と一本やった。

同行深く感じ入り、この娘にしてこの通りだ、善太郎殿はさだめしと、終いにその娘より法話を聴聞して帰った。

また、ある同行が、善太郎さんを訪ねたんだそうです。

何人もが訪ねてくるほどに、生前から善太郎さんの名前は各地に広がっていたのでしょう。

ご法義を話す、ご法義談義を求めて、人々が各地を歩いていたことを想像すると、本当にすごいなと思います。また、今の自分を顧みると、便利な世界に翻弄され、自らの足を動かすことがとても苦手になっているなと痛感します。後生の一大事よりも、目の前の都合の方を優先させているときがあります。。

善太郎さんを訪ねたけれど、本人がいなかったのです。そこで、「いつ頃帰りますか?」

と質問したら、娘さんが、「明晩だ」と。

「では明日また来よう」と言ったその方に、娘さんが言ったのです。「あなたの後生は明晩まで待たるるのですか

それを聞いて、はっとした質問者の方は、そこで談義をして帰ったというのです。娘さんの味わい。仏様の話を喜んで聞いて帰ったのでしょう。

この言葉、凄いですね。

あなたの後生は明晩まで待たるるのですか

後生の一大事とは、命の問題の解決のことです。この命が何のためにあるのか、仏様はどう願っておられるのか。

おそらく、家庭の中でこういう会話をしたことがあったのでしょう。

「あんたよ、今の問題なんだよ。後回しにはできないのが、我々の命の問題なんだよ。

だから、南無阿弥陀仏なんだ。今ここに届くお慈悲の姿を、お念仏で聞いてくんだよ。」

これは、明日に回して良い問いではないはずです。現在、この一瞬、今の問題でありましょう。と、お父さんから聞いたご法義を説いたのです。

今の問題です。

南無阿弥陀仏。今、ここに届く救いでないと、間に合わないのです。

南無阿弥陀仏だから、間に合うのです。間に合いすぎる程に、間に合うのです。仏様が先手でありました。

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